文庫本『いのちのハードル』

前回紹介した『1リットルの涙』の木藤亜也さんのお母様、木藤潮香さんの書いた本『いのちのハードル　「1リットルの涙」母の手記』です。

　

『1リットルの涙』では亜也さんが文字を書けるまでのことだけでしたが、『いのちのハードル』では亜也さんが文字を書けなくなってから亡くなるまでのことも多く描かれています。

文字も書けず、言葉も話せずに過ごした時の亜也さんの苦しさ、そしてそれを見守ることしかできなかったご家族のことを思うと目頭が熱くなります。

特に20歳以降の５年間は様々な家政婦さんのお世話になるのですが、酷い家政婦さんに当たっても不満一つ伝えない亜也さんの気持ち、そしてそのことを他の患者から聞いたときのお母様の気持ち、そして優しく抱いてあげた時の亜也さんの涙…電車ではこれ以上ページを捲れませんでした。

そして最期の時、亜也さんの気持ちを思ってその時の準備をするご両親の想い、ドラマの最終回でも読まれたお母様から亜也さんへの最期の手紙も涙なくして読めませんでした。ドラマでは描かれていない５年間がいかに熾烈なものだったか…これはドラマで再現はちょっとできないでしょうね。だからこそドラマもあのような最終回の編集になったのでしょう。

そしてこの本を読んで、何故『１リットルの涙』は亜也さんの著者名で今回の『いのちのハードル』は潮香さんの著者名なのかがよくわかりました。亜也さん、最期の仕事、人のためになる仕事に携われてよかったですね。そして私自身、亜也さんの想いに遅ればせながら接することができてよかったと思います。